25枚目 食品ロスについてpart5

みなさんこんにちは!

衆院選も終わって、いよいよコロナ禍から日本が脱却していきそうな期待感と、足元の景気不安が混在しているような複雑な状態が続いていますね。
集客が戻り、以前と同じ勢いを取り戻した場所と、依然として集客が厳しく、消費マインドも冷え込んでいる場所の二極化が進んでいます。

今現在、人が動いている場所は、旅行関係に携わる場所が動いています。
逆に、巣籠需要で伸びた 地元スーパーなどは以前よりも消費が鈍い印象です。

これは旅行行きたかった人が、やっと動いている感じだと思います。 旅行いける方はある程度余裕がある方たちが多いので、消費意欲が高い印象を受けます。

変に消費が一極に集中せず、日本全体で消費が底上げされるような、政策を進めて頂きたいと思うのは、私一人だけではないと思います。

さて、今回は食品ロスについての締めくくりとなります。

 

前回は、スーパーのお惣菜のセールを例にして、セール状態が日常化すると お店側にも消費者側にも良くないことが起こると書きました。
今回は、その理由と、上手なセールの向き合い方について書きたいと思います。

セールが日常化していくことで起こる問題点として、「商品価値の低下」が考えられます。
この商品価値というのは、「お客様がその商品に出して良いと思う金額」と言えると思います。
たとえば、スーパーのカツどんであれば、500円前後なら出せる金額 専門店のテイクアウト弁当であれば800円から1000円くらいが妥当でしょうか?

その商品を購入する前は、お店が提示している価格を参考に、商品価値を想像して購入します。
実際に食べてみて、想像していた価値よりも高い場合は期待値を上回ることになり、リピートに繋がります。
この状態は商品価値が高いと言えます。

 

価格よりも満足度が上回っている、または妥当であると消費者に理解してもらうには、食べてもらうしかないのでしょうか?
実際の消費活動では、有名なお店のヤツ やテレビで見たことあるヤツ というように、商品価値が高いと想像できる要素を集めて、期待しながら商品を購入しています。

この期待値を「ブランド価値」と言います。
先ほどのカツどんの例のように、スーパーのカツどんよりも、専門店のカツどんの方がブランド価値が高い気がして、1000円くらいまでは出せると判断しています。

ブランド価値が高い=ブランドへの信頼感が高い状態だと、商品に対する出しても良い金額が上がると言えるので、「商品価値が高い」になるわけです。

 

さて、ここで前回のコラムに戻りますが、
食品ロスを減らすために実施していた、セール販売を毎日続けていると・・・
500円のカツどんを半額の250円で売り切りセールを実施

①閉店1時間前にくれば250円で購入することが出来るので、普段の500円が高いと感じるようになり、売り切りセール時以外は購入しないようになる。
(商品価値が低下し、セール価格に商品価値が近づいている)

②普段からセールを実施するお店になり、ブランドに対する信頼感が減り、すべての商品が割高に感じ、物が売れなくなる。

③お店側は売れないので、さらに売り切りセールを実施する。 ②の状態を強化していく・・・

という悪循環に繋がっていきます。

 

高級ブランドのお店がセールを実施しない理由は、ブランドへの信頼感を維持するため、安く売らないことを敢えて選択しているわけですね。
他にも、B品のお野菜を道の駅で積極的に販売したりしないのは、A品のお野菜の価値を守る為だと聞いたことがあります。

このように、闇雲にセール販売を実施すると商品価値を下げ、ブランドに対する信頼感を低下させてしまいます。

食品ロスを減らす目的でセールを実施することは、短期的には双方にメリットが発生しますが、
長期化する場合は、致命的なデメリットをもたらす危険性があると考えると、セール販売はやらない方がいいのでは? と思いませんか?

 

自分もSDG’sと世の中が言い出す前やフードバンク活動を始める前は、セール販売反対派でした。
しかし、SDG’sの取り組みを行うことが企業価値に繋がるような社会になりつつある現在では、一定規模の妥当性のあるセールは実施すべきだと考えるようになりました。

どういうことかと言うと、企業ブランドを損なうような極端な値引き(たたき売り)ではなく、
食品ロスを減らす目的に、このままでは廃棄になってしまう商品に10%程度の値引きを行うことは実施しても良いと考えています。

このままでは廃棄になってしまう商品は、お客様の視点から見れば「売れ残り」ですから、それを喜んで購入して頂けるように、10%程度の値引きをして妥当性を持ってもらうこと。
これは、お店側の食品ロスを出したくないという思いとお客様の少しでもお値打ちなら買いたいし、食品ロスを減らす活動に貢献出来る。という思いを上手に引き出していると思います。

食品ロスを減らす目的をお客様と共有することは、商品の美味しさにプラスして、商品価値を提供することになります。

 

お店側の一方的で焦りのようなセール実施ではなく、
消費者側の売れ残りなんだから安くしなさいよ!と言わんばかりの権利意識でもない。
食品ロスを減らす目的という、共通した課題意識を持ち、双方に配慮のあるセール販売の実施が、一体感を生み、結果としてブランドへの信頼感が増していくと考えています。

そのような考えを自分自身は持っているのですが、ミスベティーとして完璧に取り組めているかというと、まだまだな部分があります。
催事販売で商品を持って行き過ぎた時のセール実施には、課題が多く残り、お客様からお叱りを受けることがあります。

コロナ禍で、過去の数値があてにならず、予想よりも全く売れないという状況がこの1年続いてきました。
本当にセール販売について考えさせられる1年でした。

社会不安が続くと、社会全体の信頼感が低下して、自社ブランドが低下していなくても、消費者の出しても良い金額が下がることもあります。(簡単にいうとデフレです。)
商品が悪いのか、セール販売を繰り返したことでブランドへの信頼感が低下したのか、社会不安が原因なのか・・・
商品が動かないからこそ、セールを実施するわけで、売れない時のセール実施の心境は言葉では表せない複雑な感情が渦巻いています。

 

part5まで続いた食品ロスについてでしたが、まとめると
①過剰な商品価値の高まりを受けて、極端な消費期限の設定が食品ロスを生む
②今までの不自然な商習慣を改めて、食品ロスを減らしていけるようなクールでセクシーな取り組みを考えることが大事
③セール販売などを実施して食品ロスを減らす取り組みをする際は、注意が必要。 お店側と消費者側の一体感を生むような新しいセール販売の在り方を考えよう。
こんなところでしょうか。

お店を経営している人間として心がけはしますが、これって一つのお店ではどうすることも出来ない問題も含んでいますよね。社会全体の雰囲気みたいな物ですし・・・
だからこそSDG’sのような社会全体の共通ワードが生まれ、それに取り組んでいる企業を評価しようという流れが生まれているのかもしれませんね。

次回のコラムは ミスベティーとは全く関係ないお話をしたいと思います。

 

1つの社会課題に対して、色々な側面から捉えることが重要だと思いますので、飲食店の立場から食品ロスを見て行くとpart4まで続きましたね。